川神キノコ再び!

521 名前:名無しさん@初回限定[sage] 投稿日:2012/03/11(日) 01:12:55.01 ID:kgaiyHXs0
こういうときにはおバカな話を投下する
522 名前:川神キノコ再び!・1[sage] 投稿日:2012/03/11(日) 01:16:56.50 ID:kgaiyHXs0
「なんなの姉さん、呼び出したりして」

放課後。呼び出された第二茶道室では姉さんが
なぜか大鍋を手にしてニヤニヤしていた。

「これ、覚えてるか大和?」

そう言って姉さんが差し出したのは……

「それは……川神キノコ……」

食べると性格が反転してしまうという、どこかで聞いたようなトンデモナイ食材である。
詳しくはドラマCDを聞いてほしい。

「いやー、最近なんか新顔が増えただろ?
 アイツらにも食べさせて、どんな風に変わっちゃうのか見てみたいと思って」

「なんで新顔でもない俺を呼んだのさ」

「顔の広さを生かして、呼び出してかけてくれよ。お前だって見てみたいだろ?」

むむ。確かにそんな気もしないでもないな。

「わかった。で、誰を呼び出せばいい?」

「燕と清楚ちゃんは私がもう声をかけておいたから、後はモンプチに、義経ちゃんと、弁慶か」

「与一やヒュームさんとかは?」

「男はいいや」

ミもフタもなかった。
523 名前:川神キノコ再び!・2[sage] 投稿日:2012/03/11(日) 01:23:55.00 ID:kgaiyHXs0
姉さんがどこからか持ち込んだカセットコンロで
キノコの入った味噌仕立ての鍋を煮込んでいく。

「んー、美味そうだ。どうだ、わたしの料理の腕もなかなかだろ?」

ただ鍋にブチ込んで煮てるだけ、という気もするが
実際、味はいいんだよなこのキノコ。副作用がろくでもないけど。

「お、やってるねモモちゃん」「こんにちはー」

そうこうするうちに犠牲者……もとい、お客さんがやってきた。
燕先輩と葉桜先輩だ。

「美味しそうな匂いだねー。私、おネギ持ってきたんだけど入れてもいいかな?」

「サンキュー清楚ちゃん。ジャンジャン入れちゃってくれ」

なんだか素材もちよりの鍋っぽくなってきた。

「ふんふん、キノコ鍋というか、キノコ汁だね。だったら……ナッ、トウ!」

「あ」

姉さんが止めるまもなく、燕先輩が納豆を鍋に投下する。しかもかなり大量に。

「これでさらに美味しくなること間違いなしだよん」

「しょーがないなー燕は……一応味見しとくか……お、何だかコクが増したような?」

「えっへん!」

まあ、納豆汁っていうのもあるから、これはこれでいいのかな。
524 名前:川神キノコ再び!・3[sage] 投稿日:2012/03/11(日) 01:28:56.59 ID:kgaiyHXs0
「直江君、こんなところで鍋パーティなどしてもいいのか?」

「フハハハハ!かたいことを言うな義経。この学院らしいではないか!」

「キノコを肴に川神水を一杯……楽しみ」

俺が声をかけた義経、弁慶、紋様の3人も連れ立ってやってきた。
皆が座ったところで食器を配り
やがて鍋も食べごろか、という段になって

「ところで……これは何というキノコなのだろう?義経は見たことがないのだが」

義経の疑問はもっともで、川神ではそれなりに知られているが
食べると妙な副作用のあるキノコが、市場に流通しているわけはない。

「あー、川神キノコっていって、川神でしかとれない珍味なんだよ」

燕先輩は関西から越してきた人だし
クローン組も生まれ育った島から川神にきたのはこの夏の話。
紋様も九鬼に引き取られる前は別のところに住んでいたらしいので
どうせ誰も知らないだろうとたかをくくったのか
姉さんは正直にその正体を明かす。

「へー」「そうなのかー」「そんな珍しいものを食べさせてもらえるとは」

皆かえって恐縮していた。ちょっと罪悪感が。

「さてと、そろそろかな。大和、皆によそってくれ」

川神キノコをたっぷり入れたキノコ汁が皆にいきわたる。

『いただきまーす!』
525 名前:川神キノコ再び!・4[sage] 投稿日:2012/03/11(日) 01:32:54.76 ID:kgaiyHXs0
ずずず……もぐもぐ……

「おおー、これはなかなかの美味、珍味であるな!」「うん、美味しいね!」
「食感が変わっているなぁ」「おや、納豆が入ってる?」「私が入れたんだよん」

味のほうはなかなかに好評の模様。

「あれ?直江君は食べないのか?」「モモちゃんは食べてるよ、大和クンも遠慮しないで食べなよ」

「あー……いや、スイマセン、俺キノコ類は苦手なんで」

ごめん、義経、燕先輩。
でもここで俺まで中毒になってしまっては
皆の症状を観察する楽しみがふいになってしまうのだよフフフ。

「そうなのか……何だか申し訳ないな。美味しいし、すごく温まるのだが」

「うむ、何やら……体がポカポカしてきたな……」

来ましたね。
この後からだが燃えるように熱くなり、頭がクラッと来て……

「ポカポカというより……熱いな。体が熱い……」

「なんだか……変な気分……」

あれ。
姉さん以外の皆が悶えてるけど、なんか反応が違うような。
身をよじらせたり、太ももをモジモジさせたり、自分の体を抱きしめたり……

なんか反応がエロいんですけど!?
526 名前:川神キノコ再び!・5[sage] 投稿日:2012/03/11(日) 01:37:00.02 ID:kgaiyHXs0
姉さんに近寄って耳打ちする。

(姉さん、持ってきたの本当に川神キノコ!?性格が反転しないで変な方向いってるよ!?)

(お前だってキノコ確認しただろ……とはいえ、この反応は……)

(ちょっとマズイよね……)

(いやあ、タマランなこれ!)

駄目だこの人。
しかし、いったいどうすればいいんだこの状況。

「大和って……けっこう可愛いよね……」

ぬ。息を荒くして弁慶がにじりよってくる。

「大和クン……隣にいってもいいかな……?」

う。燕先輩も俺ににじりよってくる。

いやそれどころか
葉桜先輩や義経、はては紋様まで俺を熱い目で見つめている!
距離の差は好感度の違いなのだろうか……
いやそんな冷静に分析してる場合じゃないぞ俺!
迫り来る女性陣に囲まれた俺を、冷ややかな目で姉さんが見た。

「み、見てないで何とかして姉さん!」

「モテモテじゃないか舎弟。だが、お前にはこの状況は贅沢過ぎるなぁ……当て身!」

「おふっ!?」
527 名前:川神キノコ再び!・6[sage] 投稿日:2012/03/11(日) 01:42:16.70 ID:kgaiyHXs0
「………………はっ!?」

目が覚めた、というか意識が戻った。
えーと、どういうわけか女性陣に迫られたところで姉さんに当て身くらって……

そうだ、女の子たちどうなったんだ!?

部屋を見回す。

姉さん以外、全員が畳の上にぐったりと横たわっていた。
そして姉さんはというと、鍋に残ったキノコ汁を平らげている。

「お、気がついたか。もう終わってるぞ」

「姉さんひどいよ、急に当て身なんて……終わってるって、あの後どうなったのさ?」

「んー?お前には何もしてないから安心しろー」

お前には、って……なんで皆がぐったりしてるのか
なんで姉さんがスッキリした表情なのかは問うまい。ええ、問いませんとも。

「けど、なんでこんなエロい副作用が出ちゃったのかな。
 同じ川神キノコだったのに……」

「前のキノコ鍋と違う要素があったんだろ……あ、燕が納豆入れてたな!」

「納豆入れただけであんな別物の副作用が出るのかな……」

「きっと納豆のヌルヌルが作用して
 川神キノコが、精力増強・性欲増大効果のある川神ナメコに進化したんだよ!」

「んなわけあるかーー!?」
528 名前:名無しさん@初回限定[sage] 投稿日:2012/03/11(日) 01:48:53.28 ID:kgaiyHXs0
おしまい
川神キノコは元ネタがドラマCDなので知らない人はスマンカッタ