タイトル無し

471 名前:名無しさん@初回限定[sage] 投稿日:2012/03/06(火) 09:08:45.57 ID:v4TatkTQ0
「いってらっしゃい、大和」
「ああ、行ってくる」
夫を会社へと送り出し、私の1日は始まる

家事を終えジョギングしながら向かう先は川神院
専業主婦となった今でも身体が鈍らないよう日々の鍛練は欠かさないようにしている
修行僧達のいい組手の相手になると百代が呼んでくれているのです

「おっ、奥さん今日もきれいだねーうんうん」
こう言って挨拶がわりのスキンシップを仕掛けてくるのは川神百代
若くして川神院総代を勤める彼女とは今ではいい友人です
「あっ、来てたんですね。おはようございます!」
元気に挨拶してくれるのは川神一子
川神で管理栄養師として働く彼女は大人になり学生時代とはすっかり印象が変わりました
以前のように決闘をしかけてくることは無くなり少々寂しくもあるのですが…
472 名前:名無しさん@初回限定[sage] 投稿日:2012/03/06(火) 09:11:27.66 ID:v4TatkTQ0
午前中の鍛練を終え、縁側で百代達とくつろいでいると、
「ところで、アッチの方はどうなんだ?そろそろ私も甥や姪の顔が見たいなーなんて」
「っ…!!」
「お、お姉様!?」
思わずお茶を吹き出しそうになってしまった
「ほらー、ファミリーで結婚してるのって大和達だけだからさー
あーでもあいつ、九鬼に勤めているからやっぱり忙しくてそんな暇ないのかな?」
確かに、大和は毎晩帰って来るのは遅く
翌日の仕事に影響が出てはいけないと思い
結婚して以来本当にご無沙汰だったりするのですが
「私も、そろそろ子供が欲しいとは思うのですが…なかなか時間がとれなくて…」
言いながらもついもじもじとしてしまう
473 名前:名無しさん@初回限定[sage] 投稿日:2012/03/06(火) 09:13:26.97 ID:v4TatkTQ0
「ふーん…。私ならこんなかわいいねーちゃん、ほっとかずに毎晩でも相手しちゃうのになー」
「なっ…、かわいいなどと…からかうのはやめなさい」
相変わらず、そう言われるのは慣れないなと自分でも思う
「そんなことないだろー。こんな美人な妻持って大和は幸せ者なのになぁー」
「ただ、猟犬などと呼ばれていた私が母親として勤まるかどうか不安で…どうしても子供が欲しいと強く言えないのです…」
自分の中で一番引っかかってる事を言ってみました
今でこそ人並みに主婦をこなせてはいるが、結婚当初は大変でした
掃除、洗濯などの基本的な家事は問題なかったのですが
何せ生まれてこのかたまともに料理をした事が無かった私は
黛由紀江や義母には随分とお世話になったものです
「そうか…でも、あれだけずっと手間のかかる妹分を世話してきたんだ、私はいいお母さんになると思うが」
「そうよ!大和と付き合うようになってから随分とマルくなったもの。
今じゃほんとにいい奥さんて感じだし、気にする必要はないと思うわ」
さっきまで顔を赤くして黙りこんでいた川神一子が口を開く
474 名前: 忍法帖【Lv=16,xxxPT】 [sage] 投稿日:2012/03/06(火) 09:17:20.12 ID:v4TatkTQ0
「それでも…私は…」
自分の中でいろいろな思いが交差する
もし子供が自分に似て短気な性格になってしまったら…
やはり自分に母親は向いていなく、大和に余計な負担をかけてしまったら…
ダメだ…こんなネガティブなのは私らしくない
「ほっほっ、何か悩んでいるそうじゃの」
「あなたは…」
「!?…じじい!乙女の会話を盗み聞くなんて趣味わるいぞ!」
「そらお前があんだけでっかい声でしゃべってれば、嫌でも聞こえるだろうに」
そういって突然会話に加わった元総代川神鉄心は以前ほどの迫力は無くなったものの、
未だに現役を宣言しており今でも時折見せる闘気には押されるものがあります
「お前さんも学園にいた頃はまるで狩人みたいにギラギラしておったが、すっりいい人妻になったのう」
「まったく、じじいは相変わらずだなぁ」
ははは…と苦笑い。こういうことにすぐ怒らなくなったのも私が丸くなった証拠なのかもしれません…
「あの、実はかくかくしかじかで…」

…
475 名前:名無しさん@初回限定[sage] 投稿日:2012/03/06(火) 09:22:58.04 ID:v4TatkTQ0
…
「ふむぅ…。まぁとりあえず産んでみるってのもアリだと思うがのう」
「…」
「産めば誰だって母親にはなれるからのう。だが、問題はそれからじゃ。
母子という関係は死ぬまでずっと続くもの
その長い時間の中で焦らずお前さんが目指す所の母親になっていけばいいんじゃ。
子供が成長してお母さんありがとうって言ってくれるようになる頃には
お前さんは自然と立派な母親になれているはずじゃ
それに子育ては一人でやるものじゃないからのう、困った時には家族や友達がいくらでも助けになってくれるじゃろう。
なあに、こんな川神家でも百代も立派に成長した!心配はいらないわい。
まぁ少々教育を間違えてしまった感はあるがのう」
「ほー、じじいもたまにはいいこと言うじゃないか」
「ほっほっ、伊達に長生きはしてないからの」
「自然と母親になれている…か…」
子供が産まれた後の事を想像してみる。親子で旅行を楽しんだり、ドイツの中将やお嬢様に挨拶に行ったり…
ふふっ…幸せそうです
476 名前:名無しさん@初回限定[sage] 投稿日:2012/03/06(火) 09:27:38.03 ID:v4TatkTQ0
「よーし、そうと決まれば今夜から実行に移さないとな!」
「そうよ!まずは精力がつく料理を教えるわ!」
「それじゃあ私とは今夜大和を誘惑する作戦を相談しようじゃないか!」
「あ、あの…二人とも…」
「ほっほっ、健闘を祈るぞい」

…この私が、母親になれるか不安で悩む事になるなど…
人生は本当にわからないものです
これも全て大和のおかげ…なのですね

「それでは百代、一子、お世話になります」

申し訳ありません、お嬢様
次お会いする時、マルギッテは母親になっていて驚かせてしまうかもしれません
477 名前: 忍法帖【Lv=16,xxxPT】 [sage] 投稿日:2012/03/06(火) 10:57:58.73 ID:v4TatkTQ0
終わり

夜中に酔った勢いで書いたからいろいろ文章おかしいかも
じじいの話は娘が産まれる前にかーちゃんから言われた事そのまんまだったりする

話の時系列はルートから約10年近く経った未来
結婚二年目ぐらいを想定しています