最高で最上級

427 名前:名無しさん@初回限定[sage] 投稿日:2012/02/25(土) 21:39:57.39 ID:2aymYGUp0
小雪ルートでHした場合のベン・ケーアフター投下
428 名前:最高で最上級・1[sage] 投稿日:2012/02/25(土) 21:44:59.11 ID:2aymYGUp0
川神を舞台にした九鬼家の造反騒ぎも無事決着。
ふたたび平穏な日々が戻ってくるかと思いきや
俺、直江大和のノリノリの中二病セリフが
テレビやらネットに流れてしまっていた。
那須与一を説得するために仕方がなかったとはいえ
学院の皆には何を言われることやら……

ユキに促されて一応は学院まで来たけれど
とても2-Fの教室に顔を出す気になれない。
どうせ今日は授業ないし……いいや、第2茶道室で時間つぶしていよう。
誰もいない茶道部部室で畳に寝っ転がってだらけていると

「こんちゃー……おや?」

だらけ仲間の武蔵坊弁慶がふらりとやってきた。
とたんに脳裏に浮かぶ九鬼財閥極東本部でのあの夜のこと。
彼女を出撃させないため、川神水に酔わせたあげく、かなり強引に抱いてしまった。
学院に来るのが気まずかったもう一つの理由だ。

ただ、俺の恥ずかしい話題なんていずれ忘れられるだろうけど
こっちのほうはそうはいかないだろう。ちゃんとしなければ。
第2茶道室に来たのも、ここに来れば彼女に会えるんじゃないかという
そんな期待もあってのことだった。
弁慶が俺の横にペタリと座る。

「フフ……テレビ見たよー。カッコよかったねー大和」

「はふん、やめて!」

「えーと……『セカイを間違った方向に行かせないために熱くなってるんじゃねえかー』だっけ?」

「ギャー!?」
429 名前:最高で最上級・2[sage] 投稿日:2012/02/25(土) 21:50:36.27 ID:2aymYGUp0
「終わった……弁慶にまでこんな……もう転校するしか……」

「全国放送されたんだから、転校したって無駄じゃない」

「ぐう」

「フフ……もうあきらめて、腹くくったら?」

「腹をくくる、か……弁慶とのことも?」

「ん?私とのこと?何それ?」

「え?……まさか、酔っていてあのときのことを覚えていない?」

「あのとき……?何かあったっけ、私たち?」

これは……好都合、なのか?
忘れているなら、覚えていないなら……
いや。そうじゃないだろ、それじゃダメだろ直江大和。

「嘘つくなよ弁慶。覚えていないわけないだろ」

だいたい、仮に覚えがなくとも、女の子なら翌朝に体の異変に気づくはず。
俺の指摘に、ちょっとふざけていた弁慶が真顔に戻る。

「……なかったことには、しないんだ」

「当たり前だ。俺も男だ、責任はとるつもりだ」

「責任をとる、かぁ……それだけが理由だったら、別にいいんだよ」

「え?」
430 名前:最高で最上級・3[sage] 投稿日:2012/02/25(土) 21:55:38.04 ID:2aymYGUp0
「そもそも、私を抱いたのも、出撃させないためだったんだろ」

「……気づいてたのか」

「そりゃあね。でもそれはいいんだ。
 私も『出撃できない』理由は欲しかったからさ。
 だから、あのことで大和が責任を感じる必要はないよ。
 無理につきあうぐらいなら、なかったことにしてかまわない」

冗談じゃない。こんないい女とあれっきりになんか、できるわけがない。

「なあ弁慶。確かに、出撃させないためって理由はあった。
 でもそれは、仲間のためであると同時に
 お前のためにでもあったんだよ」

「私のため?」

「ああ。テレビでマープルが計画を発表しているとき
 つき合わされてるお前たちの顔はつらそうだった。
 好きな女のあんな顔見せられたら、助けに行かなきゃって思うさ」

「好きな女、か……
 部屋に大和が来てくれたときね、私、嬉しかった……
 理由なんてどうでもよかった。本当に、嬉しかったんだよ。
 だから、信じるよ……ううん……信じさせて……」

いつも余裕があって、鷹揚で、頼りになる姉貴分。
今も俺に気を使って、あの夜のことを覚えていないふりをした。
けれど、その裏側は
裏切られ、傷ついて、信じられる確かなものを求めている普通の女の子だった。
信じてほしい。信じさせてあげたい。
だからそれは、言葉ではなく……もっと、熱いもので。
431 名前:最高で最上級・4[sage] 投稿日:2012/02/25(土) 22:00:40.71 ID:2aymYGUp0
横に座った弁慶の肩を抱き寄せる。
抵抗はなく、体をこちらに預けてくる。
ふわり、とほのかに甘い匂いがした……
どちらからともなく唇が重なる。

「ん……ふ……」

首筋に手を伸ばし、耳の後ろからうなじへと、柔らかなくせ毛を撫で回す。

「うん……それ、好き……ん、う……」

唇の隙間から舌先を伸ばすと、弁慶も細い舌を伸ばしてくる。
そのままチロチロと互いの舌の先端を舐めまわす。
やがて唇はもっと深く重なり合い、二人の舌も、もっと深く絡み合う。

「は、ん、ん、む……んふ……」

唇を重ねたまま、肩を抱いていた手をゆっくりと動かしていく。
鎖骨。脇。のど元。
襟元にたどり着いた指先が、ブラウスのボタンを一つ外す。
指先はゆっくりと下降して、豊かに盛り上がった丘の上で、もう一つ。
その先のボタンは……もう弁慶が自分で外していた。
大きく開いたブラウスの胸元から、そっと手を滑り込ませる……

ガラッ

突然のドアの音に、二人ともビクンとして唇を離す。

「おっと、なんだ不純異性交遊の真っ最中じゃねえか。
 あーあ、いーけないんだ。先生に言いつけちゃおうかな」

……忘れていた。だらけ部には顧問(?)のヒゲ先生がいるのであった。
432 名前:最高で最上級・5[sage] 投稿日:2012/02/25(土) 22:06:26.09 ID:2aymYGUp0
「……自分が先生でしょ、ヒゲ先生」

弁慶がそそくさと体を離し、背を向けて乱れた着衣を直す。

「違ぇねぇ。おい直江、弁慶。いちゃつくのはいいが、ほどほどにしとけよ。
 もちろん、ここをラブホ代わりにするのも禁止な。ここ、だらけの聖域だからさ」

もう少しで「性域」だったんだけどね。

「しかしまあ……あんな中二演説ブチかますわ
 ここじゃ女相手に鼻息荒くするわ、お前も若いねぇ」

「ぐはっ!?」

「じゃ、お邪魔なおじさんはこれで退散してやるよ。
 あと、けっこう皆まだ学校に残ってるから
 からかわれたくないなら、もうちょっとしてからのほうがいいぜ。じゃあな」

飄々とヒゲ先生は帰っていき、なんとなく気まずくなった二人が残される。

「……こういうときって、それじゃ、って続きをするものなのかな」

「そんなの俺だってわかんないよ……
 あーあ、弁慶に続いてヒゲ先生にまでからかわれるとは……」

「そんなに気にしなくてもいいのに。どうせ皆すぐ忘れるって」

「……そ、そうかな?」

「私は忘れないけどね」

「いじめっ子だー!」
433 名前:最高で最上級・6[sage] 投稿日:2012/02/25(土) 22:11:27.54 ID:2aymYGUp0
恥ずかしさに畳の上で丸くなってゴロゴロ転がっていると

「てい」

背中からガバッと弁慶に抱きつかれて転がれなくなった。
そのまま耳元で弁慶がささやく。

「勘違いしないの。忘れないっていうのはね
 私にはあのセリフは……本当に、嬉しかったから」

「嬉しかった?」

「そ。あれは与一を説得するための言葉だったけど……
 『お前だ。お前自身はどうしたいんだ』『今はもう今しかこない』……
 ホント、あれが効いちゃったんだよね、どういうわけか」

……そっか。与一の心に響いたのなら、同じ立ち位置に置かれた弁慶の胸にも
何かしら訴えるものがあったんだろう。

「言ってみるもんだな、中二病セリフ」

弁慶が俺の背中に顔を摺り寄せてくる。
俺を背中から抱きしめていた腕が少し緩んだ。
ぐるりと向きを変えて、横になったまま正面から向き合い
互いの吐息が感じられるほどに間近になる。

「ん……」

寝転がったまま、軽く口付けを交わしたあと
弁慶は微笑みながら俺にささやいた。

「辿りつけたね……『最高で最上級の結末』に……」
434 名前:名無しさん@初回限定[sage] 投稿日:2012/02/25(土) 22:16:32.53 ID:2aymYGUp0
おしまい
2で弁慶の覚えていないふりに
話をあわせるかどうかの選択肢があるっぽい

にしても、本山さんの声は色っぽいなぁ……