処理
312 名前:処理・1[sage] 投稿日:2011/02/03(木) 23:01:03 ID:ci4dl4Eu0
「あー、これは残してもいいかなー」
「だな。この胸とか、タマランぜ」
秘密基地では、俺、ガクト、モロの3人が
恒例となった処分エログッズ選定会議を行っていた。
「……さっきから、処分に回すのが増えてないよね」
選定しながら、つい鑑賞してしまう。鑑賞すると「残そう」と思ってしまう。
なんだかんだいって、皆エロかった。と、いきなりバァン!とドアが開く。
「オース!あれ、何やってんだ?」
「うおビックリしたぁ!なんだ、キャップか……」
「なんだ、はねーだろ……ああ、エログッズの処分ね」
キャップはつまらなさそうにソファに座ると
ペラ、と処理する予定のエロ本の表紙をめくりそのまま読み始める。
「あれ、こういうの読むんだキャップ?」
普段なら「うわ、グロいなー」とか言って放り出すのに。
「読むっていうか、鑑賞だな。
キレイな体を撮ったキレイな写真は、俺もいいと思うぜ。
ほら、こういうのとかけっこういいんじゃね?」
キャップが開いて見せたのは
プロポーション抜群の金髪モデルのヌード写真満載の雑誌。
キレイな写真だが、あまりエロくはないので処分される本だった。
313 名前:処理・2[sage] 投稿日:2011/02/03(木) 23:10:11 ID:9GLGXzhi0
「キャップも、まるっきり女に興味なしってわけじゃねえんだなー」
ガクトもモロもちょっと驚いている。もちろん、俺も。
「ああ、このモデルなんか、引き締まってていいよな」
「そっか、こういう女の子が好みなんだね」
「足も長いし、走ったら速そうだぜ!」
……興味の方向がちょっとズレてるような。
女の子であっても、恋愛とか、性欲の対象じゃないんだな。
ちょっと切り口を変えてみよう。
「キャップはさ、将来家庭を持つとしたら、どんな女性がいい?」
「家庭なぁ……ちょっと前までは、母ちゃんみたいな女の人がいいな、と思ってた」
「……」「……」「……」
「あれ、なんで黙るの?」
「確かにキャップの母ちゃん美人だけどよ……」「実の母はマズイよね」
まあ、そういう対象じゃないとは思うが……
「っと、俺バイトだからそろそろ行くわ。
エログッズ、キチンと処理しといてくれよ、女子がウルセーから。じゃなー!」
来たときと同様、唐突にキャップは去っていった。
314 名前:処理・3[sage] 投稿日:2011/02/03(木) 23:14:14 ID:9GLGXzhi0
「じゃ、これだけ処分な。おーい、クッキー!」
下の階を掃除しているクッキーを呼ぶと
すでに察しているのか第二形態になってやってきた。
「やれやれだな。たまには、春画以外のものを裁断したいものだ」
「今回はDVDもあるぞ」
「いや、切ったら血が出るような……まあいい」
部屋の隅でクッキーがエログッズ処分を始める。
と、ガクトがため息交じりにつぶやいた。
「しかし、キャップもいくら女に興味ないからって
嫁にしたいタイプが自分のカーチャンみたいな人って……なあ」
まあガクトの場合はまた母親が強烈だしな。
「大和、ちょっと気になるんだけどさ」
「ん?なんだモロ」
「その……いくらキャップの心に性欲がなくても
体のほうはもう大人なわけじゃない?溜まるモノは溜まるはずだよね……?」
「それはそうだな」
「やっぱり、その……処理してるのかな?」
一瞬、皆が黙り込む。
キャップが……性欲処理?
315 名前:処理・4[sage] 投稿日:2011/02/03(木) 23:18:15 ID:9GLGXzhi0
「大和は同じ寮住まいなんだから、その辺気付かない?」
「いやいや、流石にそこまでプライベートには踏み込まないぞ」
「つーかよ……やり方知らねーんじゃねーか?」
確かに。2年始めのオリエンテーリングで
ヨンパチが持ち込んだコンニャクを食おうとした男である。
「でも、それだと溜まった結果
夜中にコッソリとパンツを洗うハメになるよね……」
「うわ、カッコワリイ」
夢精しちゃってパンツ洗いか。
しかしキャップがそういう行動をとった記憶はない。
まあ隠れてやるだろうからそれで気付かないのか……待てよ。
「なあクッキー、お前キャップと同じ部屋にいるんだから
キャップがそういうのどうしてるか知らないか?」
「おお、そうだぜ!しかも眠らないんだから
夜中でもゴソゴソやってりゃ気付くしな」
「……ノーコメントとさせてもらおう。
これは、名誉に関わることだからな」
「ち、ノリ悪ィな。しかし、わかんねーな。自分で処理しているのか……」
「それとも、パンツに漏らしちゃってるのか……」
果たしてどちらなのか、謎は深まる一方だった。
316 名前:処理・5[sage] 投稿日:2011/02/03(木) 23:22:15 ID:9GLGXzhi0
事実は、どちらでもなかった。
「マッタク、他人事だと思って気軽に言ってくれるよ」
その夜。部屋で寝る前のキャップにクッキーが愚痴をこぼす。
「んー?何かあったの?」
「昼間、ちょっとね。まあボクのことじゃないんだけど」
「ふーん……ふぁ~あ……なーんかやたら眠いわ。じゃ、おやすみー……」
布団に入るが早いか、すやすやと寝息を立てはじめる。
「まったく、世話の焼けるマイスターだよ」
そう言うと、スルスルとパジャマのズボンとパンツをずり下ろす。
「でもボクは……『ご奉仕ロボ』だからね」
寝る前のお茶に密かに睡眠薬を入れておいたから、目覚める心配はない。
たとえ、どんな刺激があったとしても。
今までのように。これからもそうであるように。
数分後。
「…………うっ……むにゃ……」
手を見る。
白濁した粘液が、マニュピレーターに絡みつき、滴る。
「……最低だ……俺って……」
317 名前:名無しさん@初回限定[sage] 投稿日:2011/02/03(木) 23:25:29 ID:9GLGXzhi0
おしまい
最後のセリフを緒方さんボイスで脳内再生してもらうためだけに書いた