鬼は外!

123 名前:名無しさん@初回限定[sage] 投稿日:2010/02/02(火) 20:26:01 ID:8JK496e70
百代バカップルもの投下
124 名前:鬼は外![sage] 投稿日:2010/02/02(火) 20:29:03 ID:8JK496e70
「んー……大和ー、どうかなー」

「おおう。思った通り、よく似あうよ姉さん」

明日は2月3日、節分である。厄避けのご利益で名高い川神院も
この日はいつにも増して参拝客が増える。

例年であれば、姉さんもその準備に狩りだされているところなのだが
今年はちょっと事情が違った。

豆撒きのイベントは、何も川神院だけのものではない。
地元駅前商店街でも豆撒きを行っていて
今年はそのイベントの手伝いというバイトが、キャップ経由でまわってきたのだ。
ジイさんも商店街の頼みなら、ということで許可したらしい。

「肌着はいらないの?その格好じゃ寒くない?」

で、どんなバイトかというと

「ああ、大丈夫だ。それに、肌の露出が多いほうがいいだろ?」

鬼娘のコスプレだったりするのである。
ただいま、秘密基地にて衣装あわせ中。
虎皮模様のホットパンツにタンクトップ、頭には角をつけた姉さんが
ノリノリで俺の前でポーズをとったりしている。

「何か決めゼリフも欲しいな……『エロい子はいねがー?』とか、どうだ?」

「エロい子は姉さんです。というか、それはナマハゲです」

イロイロ、間違っていた。
125 名前:鬼は外!・2[sage] 投稿日:2010/02/02(火) 20:32:04 ID:8JK496e70
「ちぇ、決めゼリフはダメか……何か足りない気が……あ!
 大和、ちょっと待ってろ!」

何か思いついたらしい。
風のように部屋を飛びだしていったかと思うと

「ただいまー!鬼といったら、コレだろう!」

ドスン!

秘密基地のタイル張りの床に
重たげな音を立てて突きたてられる
身の丈ほどの長さの黒光りする金属塊。

「これぞまさしく、鬼に金棒!」

「質問。それは、どこから?」

「ん?寺の武器庫からだぞ?」

それはつまり、本物だということなわけで。
先端の部分に突起が並んでいるあたり、いかにも実戦的だが
豆撒きのイベントは実戦ではない。

「これで、飛んでくる豆をビシビシと打ち返すわけだ」

「却下!姉さんが打ち返したら豆つぶでも銃弾と同じでしょうが!
 そんなアブナイもの返してきなさい!」

「……なんだよ、せっかく人が盛り上げようと苦心してるのに文句ばっかり言って。
 こうなったら……大和の『金棒』をよこせー!」
126 名前:鬼は外!・3[sage] 投稿日:2010/02/02(火) 20:45:36 ID:8JK496e70
「うわ、ちょ!?」

どうして「こうなったら」でそういう行動になるのかわからないが
ぴょん、と飛びついてきた姉さんが、あっというまにズボンのジッパーを下ろす。

「さー大和、覚悟し……まだ『金棒』になってないな」

「いやそんなイキナリには」

しかし、このまま易々と鬼娘に「金棒」を奪われるわけにはいかない。
俺の前にかがみこんでいる姉さんの胸元に手を伸ばし
虎皮模様のタンクトップの隙間に手を差しこむ。

「む、こんなところに豆が?
 フッフッフ、鬼の弱点は『豆』だったよね?」

「あん……や、大和ズルイ……
 あ、『金棒』になってきた。あむ……ちゅ……」

しまった、ついコーフンしてしまって、鬼に武器を奪われることに!
そのまま押し倒される形でソファに横たえられる俺。
このままでは体勢的に不利だ。

「姉さん……俺の顔、またいで」

姉さんが俺に言われるままに、顔の上にその豊かなヒップを乗せてくる。
そのホットパンツをずり下ろし、舌で「豆」を探りあてる。

「豆撒きでは、年の数だけ豆を食べると言う……」

「ん、む……いいから、早く……退治して……」
127 名前:鬼は外!・4[sage] 投稿日:2010/02/02(火) 20:52:47 ID:8JK496e70
「……鬼退治、完了」

結局、俺の年の数をちょっと越えたあたりで終了した。

「さすがに疲れた……俺達、設定は18歳いじょ……はっ!?」

「ん……どうした……?……ああ!?」

身につけたままの鬼娘のコスチュームが、二人の体液でエライことになっていた。
……今日、危険日だってんで、全部ぶっかけたのがマズかったか。

「脱いで!早く脱いで!」

「ん、続きか?私の年の数の分もするのか?」

「洗うんだよ!」

何とか洗い落とそうとしたのだが、けっこう匂いがしつこく残り
結局、翌日に商店街事務所に連絡して、替えの衣装を用意してもらった。

「やれやれ……で、姉さん、あの汚しちゃったほうの衣装はどうしたの?」

「ああ、せっかくだから、貰っちゃった。
 ほら、コレ。節分だけに、『服はウチ』ってな」

結局せしめるあたり、ヒドイ鬼だ。
まあ可愛いから追い出しはしないが。

「さあ夜の豆撒き、第2ラウンドだ!今度は私の年の数の分も合わせて、だな!」

「やっぱり帰れー!鬼は外ー!」
128 名前:名無しさん@初回限定[sage] 投稿日:2010/02/02(火) 20:55:49 ID:8JK496e70
おしまい
恵方巻きネタとどっちにしようか、ちょっと悩んだ