近況報告

13 名前:名無しさん@初回限定[sage] 投稿日:2009/11/27(金) 23:44:31 ID:gNrp9iaZ0
あまり投下がないと寂しいので投下
百代ルートのアフター
14 名前:近況報告・1[sage] 投稿日:2009/11/27(金) 23:47:39 ID:gNrp9iaZ0
「すまん、遅くなった!いや、東京からの道が渋滞で……
 キャップは、来ていないのか?」

「キャップには連絡がつかないというか、どこにいるのかわからなくてね」

秘密基地に集まる、キャップを除いた風間ファミリーの面々。
ここに集まるのも、ずいぶん久しぶりだ。
俺と姉さんの結婚式の、2次会で使って以来だからなぁ。

「まあ、残念だが仕方がないな……ってわけで、久しぶり、クリス」

「ああ、本当に久しぶりだな……大和、川神市長就任おめでとう!」

「や、どーも」

そう。俺が史上最年少の市長として
川神市の市長選挙で選ばれてから約1ヶ月。
ようやっと少し落ちついてきたところで
ささやかなパーティーを皆がしてくれることになったのだ。
この、秘密基地で。

「しっかし、昔っからのダチが市長ってのも、なんかおかしな感じだよなー」

「そうだよねぇ……やっぱり、『市長』って呼んだほうがいいのかな?」

「いや、このメンツでそれはいいよ」

「だな。私なんか、いまだに『弟』とか『舎弟』とか呼ぶときあるし」

「いや、夫婦なんだからそれはもうやめてよ姉さん」

「お前が私を『姉さん』って呼ばなくなったらな」
15 名前:近況報告・2[sage] 投稿日:2009/11/27(金) 23:50:40 ID:gNrp9iaZ0
「ところで……その、モモ先輩?」

何故かクリスがモジモジしながら聞いてくる。

「んー?なんだクリ?」

「子供は……まだなのかな?」

「そうそう!私もそれ、気になってたんですよ!
 もう結婚されてから、けっこうたちますよね?」

まゆっちも勢いこんで同調。
結婚してからは、特に避妊もせず頑張っているのだが。

「そろそろ作っておかないとなー。モモ先輩も、もう若くないんウボァ!?」

一瞬で天井に蹴りあげられるガクト。相変わらずだ。

「……こうやって、ガクトが余計なこと言ってモモ先輩に殴られるのを見ると
 なんだかすごく落ちつくなぁ」

「テメ浸ってんじゃねーよモロ!」

すぐに復帰するあたりも相変わらずだった。

「でも、本当に、そろそろお子さんができても……ねえ?」

「うるさいなー。だいたい、私と大和以外、誰も片付いてないじゃないか!
 そういうのは、自分が相手を見つけてから言えよ!」

「そうだね。ちょっと皆、近況報告してくれよ」
16 名前:近況報告・3[] 投稿日:2009/11/27(金) 23:53:53 ID:gNrp9iaZ0
「じゃあ、私から」

「いや、京はわかってるから」

「でも、他の皆には報告しないとね。
 私は今、直江市長の秘書をしてるよ」

「えー?」「そうだったんですか?」「そこまで大和一筋とはなー」

有能だし、俺の体調や気分を敏感に察してくれるので
非常に助かっている。
助かってはいるのだが……

「僕は知ってたよ。ネットで、『新市長の愛人か?』なんて書かれてた」

やっぱり、そういう噂立つよなぁ。

「そういうモロは、この間出した新作ゲームがけっこう話題だったよな」

「うん、おかげさまで何とかね」

モロはゲーム会社に数年勤めた後、自分で会社を立ち上げていた。
最初は鳴かず飛ばずだったらしいが
ここ2年ほどはヒット作を連発している。

「ゲーム会社か……どんなゲームなんだ?」

そういや、クリスはあまりゲームには縁がなかったか。

「いわゆるギャルゲー……恋愛シミュレーションて言えばいいかな。
 ゲームを作ってる本人は、恋愛には縁がないけどね……」
17 名前:近況報告・4[sage] 投稿日:2009/11/27(金) 23:56:56 ID:gNrp9iaZ0
「情けねえなあモロ……売れてきてるんなら、ガンガン攻めてけよ!」

「ガクトみたいに、攻めるたびに玉砕するよりはいいと思うよ」

「うるせえよ!男の魅力はなぁ、こうやって磨かれていくんだよ!」

相変わらず、女を口説いてはフラれる繰り返しか。
この中じゃ一番変わっていないのはガクトかもしれない。

「えっと、課長になったんだっけ?」

「おう!まあお前の市長に比べりゃどってこたねえけどな」

「なんか、セクハラとかしてそうよね」「してそうだな」「してるね」「私もやりたいぞ」

回りの反応も変わっていなかった。

「そういうことはしませんよね?」「わかんねーぞー。油断するなまゆっちー」

「本音ダダ漏れだぞまゆっち……
 っていうか、まだ松風いるのかよ」

「ええ、ずっと一緒にいますよ?」「もう離れられない二人なんだな」

松風がまだいるってことは、いい相手は見つかってないんだろうなぁ。

「見合いの話とか来ないの?」

「以前は時おりそんな話もあったのですが……
 妹がですね、一昨年結婚しまして、子供ができましてですね。
 それからは両親も何も言わなくなりましたうううううう」
20 名前:近況報告・7[sage] 投稿日:2009/11/28(土) 00:06:05 ID:gNrp9iaZ0
――― そんな風に大和が見上げた上空を
一機の貨物機が飛んでいく。
その後部貨物室では、こんなやりとりが。

「おいカザマ、本当にやるのか?」

「ああ、飛行場まで待ってられねえ!」

「もう飛行場まで目と鼻の先だってのに……何か、大切な約束でもあるのか?」

「いーや?けどな、何か、今すぐ行ったほうがいいって気がすんのさ!」

「そんな気がするってだけで、街中にパラシュート降下かよ。よくやるぜ。
 ……よーし、パラシュート高度まで来たぜ!用意はいいかカザマ!」

「おう!目標は、あのビルの屋上に降下だ!
 ……できるな、ハニー?」

振り向いた先で、ずっと傍らに立っていた女性が微笑む。

「スカイダイビングはアタシのほうが得意なの、忘れたの、ダーリン?」

「へへ、そうだったな……
 それじゃ、早いとこ行って、アイツらのビックリする顔見てやるか!」

晴れわたった青空に、二つのパラシュートが花開く。
飛び降りる先は懐かしい場所。
何の約束もしていなくても、そこに行けばきっと会える。
だからできるだけ早く、一番の近道で。

「待ってろよ、お前らー!今行くぜー!」
18 名前:近況報告・5[sage] 投稿日:2009/11/28(土) 00:00:00 ID:rRaqBzcO0
「見合いかー。私も、父さまにずいぶん縁談を持ちかけられててなー」

「ええ!?あの中将さんが!?クリスに縁談を!?」

「まあ……さすがに、この年齢になるとな。
 こっちの大使館付きになってからも、年に数回は持ちかけられる」

変われば変わるもんだな。

「私としては、マルさんより先に、というわけにはいかんと思うのだが……」

「あ、マルギッテもまだ独身なんだ?」

「ああ。相変わらず、任務に忙しいようでな。
 なかなか会えなくて、寂しい限りだ」

「……もうお前とマルギッテで結婚しちゃえよ」

「な!?……それもいいな(ボソ)」

いいのかよ。

「アタシは……ずっとお姉さまと一緒だったし、これからもそうかなー」

ワン子は、川神院師範代にはなれなかったが
それでも姉さんのサポートをするべく、栄養士として頑張っている。

「ジイさんが、『そろそろ一子も嫁に出さんとのぅ』って言ってたぞ」

「却下だ!ワン子は誰にもやらん、私のだ!以上!」

姉さんが以前のクリスパパのようになっていた。
19 名前:近況報告・6[sage] 投稿日:2009/11/28(土) 00:03:00 ID:rRaqBzcO0
「結局、脈のあるヤツは誰もいないんだな」

「私たちに子供ができないとか、人のこと言えた立場じゃないだろう」

「けどよ、俺様達の同期で、結婚したのってゲンとクマちゃんぐらいだろ?」

「おまえら、クマーン以下か。情けないぞ私は」

「キャップにいたっては、行方すらわからないしね……」

「今ごろ、どこで何やってるのかしらねー」

「きっと、皆があっと驚くようなことをしてますよ」

確かに、まゆっちの言う通りだな。

「けど、恋愛に縁がなさそうなのは変わってそうもないな」

「だよなー。っていうか、キャップの嫁になる女って
 どんな女か想像つかねー」

「うーん……同じようなタイプの人なら、上手く行くんじゃないかしら?」

「確かにそうかもしれんが
 キャップみたいな女性というのは、そうはいないだろう……」

「ハハハ、そんな女がいたら、お目にかかりたいな!」

窓から空を見上げる。
この空の下のどこかで、キャップはまた何かやらかしているんだろう。
見上げた空に、一筋の飛行機雲が長く長く伸びていた。
21 名前:名無しさん@初回限定[sage] 投稿日:2009/11/28(土) 00:08:28 ID:rRaqBzcO0
おしまい
キャップはこんな風にいきなり嫁を連れてきて
皆を驚かせそうな気がするってだけで書いた