秘伝の行(ぎょう)と金剛の拳

589 名前:秘伝の行(ぎょう)と金剛の拳[sage] 投稿日:2009/10/25(日) 02:52:45 ID:Fltp//5H0
>>151の続きで>>496の前くらいを捏造してみた
>>496での百代と辰子、強敵と書いて友と読むようになった理由を勝手に設定付け
590 名前:秘伝の行(ぎょう)と金剛の拳1[sage] 投稿日:2009/10/25(日) 02:54:45 ID:Fltp//5H0
「百代に辰子。お主らに精神修行の特訓を申し付ける」
夕暮れの河川敷を一人、自分の将来やこの国の行く末に思いを巡らせつつ歩いているといきなり拉致された、俺こと直江大和。
攫った張本人は我が義姉、川神百代と同じく川神院門弟の板垣辰子。
あっという間に川神院本堂で彼女らと並んで正座をさせられ、厳かな川神院総代の申しつけを聞く羽目になった。
……なんで彼女達の修行方針指示に、俺が居る必要があるのだろうか?

「やだぞー。そんなかったるい修行。拳を交してる方が楽しいぞ」
「んー。組み手よりは好きかも。何だか気持ち良く寝れるし」
勝手な事を仰っている川神百代に板垣辰子のお二方。
それ以上に、俺を拉致することには何の疑問も持たなかったのだろうか?
「第一、なんで急に精神修行なんてしなきゃいけないんだ?面倒臭いしやだぞー」
「zzzzzzzzzzz」
……部外者の俺が神妙に正座しているのも馬鹿馬鹿しいほどのグダグだっぷりである。

だが、そんな彼女達をスルーして、厳かに言葉を続けるジジイも伊達ではない。
「お主らの気は大きいものの、まだ形がないからじゃ。椎名は不動明王、黛は阿修羅が見えるじゃろ。
 これはお主らよりも心の鍛錬が進んでおる証拠じゃ。
 さらに磨けばワシの奥義、顕現のように具現化させ、攻撃を行うこともできる。
 つまり、お主らの技の幅が広がるわけじゃから、悪い話ではないじゃろ?」

新しい奥義修得の可能性…。これを聞いても姉さんの食いつきは悪かった。
「…あ~。言いたいことは判った。だが、私、向いてないと思うぞ。
 ジジイの使う毘沙門天なんて、10日間、飲まず喰わず瞬きさえせず、北極星を凝視し続ける修行をやってようやく修得だろ?」
やっぱり組み手以外の修行は嫌いらしい。というか、普通はやりたがらないだろうな、そんな特訓。

「ボーっとしてるだけなら良いんだけどねー。眼を閉じちゃ駄目って、辛いよねー」
一方、辰子の方は本気でどうでも良さそうだった。
そんな二人を見ても、不敵に笑うジジイ。
……何を考えているのか俺には判らないが、何となくロクな事を言わないであろう予感がビンビンにしてくる。
591 名前:秘伝の行(ぎょう)と金剛の拳2[sage] 投稿日:2009/10/25(日) 03:00:37 ID:Fltp//5H0
「あれは三昧という行(ぎょう)の一環じゃ。別に座禅でも読経でも峰行でも構わぬ。
 徹底的に精神の集中ができれば何でも良いのじゃ。剣禅一如というヤツもあるしの。
 …じゃが、拳を交える行は却下じゃ。お主らの強さでは周囲への影響が大きすぎる。
 それに、川神院にはお主ら向けの行も伝わっておる。愛染明王の曼荼羅を描き、その上で3日3晩、交わう行がな。
 お主らが煩悩即菩提の悟りに近づけば、心を磨くこともできる」

このセリフを聞いてキュピンと煌く両者の瞳。
そしてこのセリフを聞いて、ようやく拉致された理由を把握できた俺。
「おぉ~~。…良いかも、それ」
「…でも、一人ずつでは駄目なんですかー?むしろどうせなら、独占したいなー」
そう言いつつ、一瞬で間合いを詰めて俺に引っ付く辰子。
にへらーと蕩けた表情を見せる彼女と対照的に、殺気が瞳に篭り始めた姉さん。
…サバンナで深手をおったシマウマってこんな気分なんだろうな。
ライオンとチーターが睨みを効かせていて、今この場に居ないハゲタカからも襲撃される恐れがある。
俺を凝視している京の姿が脳裏を過ぎるが、胃が痛くなってきたので、頭を振って振り払う。
………居ないよな?絶対、この近くに居ないよな!?
ちなみに捕食者達は獲物を挟んで睨みあっているだけだが、刺激を与えようものなら、龍虎相打つ闘いの始まり始まり。

「じゃから行じゃと言っておるじゃろう?不眠不休で愛を交し続けて成功なのじゃ。
 絶頂に達しても気絶すること罷りならぬ。じゃからぱーてぃーを組んで挑むことを推奨する」
猛獣使いのジョブレベルが上がったのか、簡単にこの場を収めるジジイ。
「…確かに大和の絶倫振りには呆れるものがあるな。…まさか逝かされて返り討ちに遭うとは」
「あははー。カーニバルはそれで負けちゃったからねー。椎名っちも呼んどく?」
やめてー!それだけはやめてー!!ワタシ、ヒカカラビテシマイマスヨ!?

しかし、物騒な辰子の意見には待ったが掛かる。
「これも却下じゃ。アヤツは愛欲によって強くなるコツを掴んでおる。じゃから、この行は既に意味が無い。
 それよりも特に【心技体】の心のレベルが低いお主らにこそ、課した修行じゃしの」
592 名前:名無しさん@初回限定[sage] 投稿日:2009/10/25(日) 03:02:25 ID:Fltp//5H0
……カーニバルの後、小雪から『キミのミルクを飲めば、強くなれるって本当?』など聞いてきたことを思い出した。
京の事は変態だとは思っていたが、ここまで斜め上な発言をされると驚くことすらままならない。

しかしトンでもない事態になったものだと改めて感心してしまう。いやエロいことしてくれる事は健全な男として吝かではございませんが。
だが行とまで称されるような過酷なエロとなると、それもそれで…。聞き届けて貰えるとは思わないが、とりあえず異議申し立てはしておく。
「……俺の体力はご考慮頂けませんでしょうか?」
「我が弟子の舎弟ならば、我が弟子同然じゃ。そして弟子は師に逆らわぬものじゃ」
「うわ、何ですその聖闘士理論…」
「万が一の時には、我が川神院で盛大に弔ってやるわい」
「……嫌過ぎる…。十代の若者が、腹上死なんて本気で嫌過ぎる…」
「じゃったら生きて帰るがよい。これも川神魂じゃ」
うん。死んで堪るか。というか死ねるか!!

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やがて姉さん、辰子との三人で押し込まれた修練堂の床には梵字を用いた曼荼羅が書かれており、その真ん中には布団が敷かれていた。
ちなみに窓も締め切られ、明かりは蝋燭の灯火のみという中々にロマンティックというよりシュールと言うかむしろミステリアスな光景。
仏様方の前でセックスというのもやっぱりどうかと思うが、まぁ行だから仕方ない。
さらに外から閂が掛けられた辺り、やっぱり三日三晩が冗談でないあたりに軽く絶望を感じるが、これも抗いようがない。

寺のお堂に敷かれた布団、そこに三人の男女。
しかも女二人は視線だけで攻防を繰り広げており、取り残された俺にできることは、ご本尊の尊顔を拝むことと、天井の染みを数えるくらい。
だから、二人の間にこんな会話が交されていたことなど、全く知る由も無かった。
593 名前:秘伝の行(ぎょう)と金剛の拳4[sage] 投稿日:2009/10/25(日) 03:04:44 ID:Fltp//5H0
『私は、お前の事が正直気に入らない。大和は私の舎弟(おとうと)だぞ』
『アタシだってそうだよ~。大和君はアタシのとっても大切な人。家族にも負けない程。…いっそ力づくで奪っちゃいたいくらい』
『望むところだ…と言いたい所だが、この場では大和も巻き込む』
『む~。大和君に怪我させちゃいけないもんね~。…なら』
『ああ。大和を逝かせた回数で勝負するか』

「覚悟しろ、大和!」
「行くよ!大和君!!」
天井の染みの数を64個カウントしたあたりで、急に姉さんと辰子が飛びかかってきた。
ただしこの動きは連携が取れていない。…まずは姉さんをいなしながら、辰子から責めるか…。

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「く、うああぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」
アナルを責めて姉さんを絶頂に導き、意識を飛ばしかけたところで辰子が再び迫ってくる。
「大和君!大和君!!」
猛烈な口付けには舌の動きで返し、動きが止まった彼女の陰核を責める。
空いた手で強めに乳首を摘む。
「ぁんんんんんんんんんんん」
この頃には姉さんが回復してきているが、俺だって姉さんの性感帯は把握している。

二人の体力は規格外だが、別個に向かってこられる分には何とか対応できる。
基本戦術は先手必勝、とにかく逝かされる前にイカせていかなければ俺の体力が保たなくなる。
今のところ俺の射精回数は3回。対して姉さんと辰子はそれぞれ8回と10回イカせた。
しかしこれが三日三晩続くとなると、本気で大変なことになるな。

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姉さんを20回ほど逝かせたところで、妙な違和感を感じた。
なぜだろう?事が始まってからまるで目線を交えようとしなかった二人が、アイコンタクトを交わす回数が増えている気がする。
594 名前:秘伝の行(ぎょう)と金剛の拳5[sage] 投稿日:2009/10/25(日) 03:07:42 ID:Fltp//5H0
『百代さん…。5分休んだら戻るから…』
『ああ、暫く休め。…反撃はそこからだ』
『……何となく、アタシが百代さんの事が嫌いだった理由が判った気がする』
『そうだな。私達は似ていた。そして同じものを求めて戦った。…私がお前の立場だったなら、同じ選択肢を選んだかもしれない』
『今も同じものを求めている事には変らない。アタシは大和君が欲しい!!」
『アレは私のモノだ!…だが気力が戻ったなら上等だ。いくぞ、合わせろ!』
感じていた違和感…。行を始めた当初はそれぞれ勝手に動いていた二人が、次第に調子を合わせ始めた。
姉さんが俺の鎖骨を舐める時には、辰子の唇が臍の周りをなぞる。
「ぺろ…。二人で同時に掛かれば、ベッドヤクザのお前といえど抵抗もできまい」
「ちゅ。百代さんと一緒に気持ちよくしてあげるよ、大和君」
辰子が俺の腰の上に跨った時には、姉さんが俺の顔に腰を乗せる。
挙句、辰子を逝かせる瞬間に姉さんも絶頂に達する挙動を見せるが、辰子も姉さんも一瞬で息を吹き返す。
まるで二人がシンクロしていくように…。常に対を成す護法の守護神の様に。
一糸乱れぬ動きで徹底的に攻めてくる二人に、俺は必死に意識を保つことしかできなかった。
…まるで護法神に踏みつけられる悪鬼の様に蹂躙され、度を過ぎた快楽も地獄の責め苦となった。

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やがて四日目の朝を迎え、目的の刻限を超えた頃に久し振りに服を着る。
二人とも身なりを整えた頃、閂が外され、開いた扉から朝日とともに一人の老人が入ってきた。
「ふむ、無事に行はこなせたようじゃの。さて百代に辰子よ、お主らが体得した気の形をみせてみよ」
この事件の黒幕、本人の登場である。
そして登場するなりの振りに、難色を示す辰子。
「え~。疲れるからやだよ~」
一方、姉さんの方は、ちょっぴり乗り気だった。
「諦めろよ辰子…。ジジイ、しっかり見届けろ。はぁっ!!」
気合と共に立ち上った二柱のオーラに、川神院総代は目を細め唸る。
「むぅ…。お主らが身に付けた気の形は金剛力士か。百代が阿形、辰子が吽形。
 最も堅く強い武器ヴァジュラが源流となる仏ならば、お主らにふさわしいかも知れぬな」

595 名前:秘伝の行(ぎょう)と金剛の拳6[sage] 投稿日:2009/10/25(日) 03:10:48 ID:Fltp//5H0
満足気に弟子達の成長を認めたジジイだったが、軽く俺に視線を移した瞬間、妙に凝視された。
「ぬぅ…。お主に菩薩の相が出ておる…。衆生を救うべく力を求め、己を磨くか。
 直江よ。武に身を置かぬ者も川神院は門戸を開いておる。いつでもここに来るが良いぞ。心身を鍛錬する場も、人も貸そう。
 …どうやらお互いに利益があるようじゃからの」

菩薩…。悟りを得るべく苦難に挑み、後に如来となる行者。
…だが、この苦難は俺の夢の現実的な障害か、それともさっきまでの行の様な女難を指すのか全く判らず、戦慄するしかなかった。
ただ、慄いているだけなのも癪なので、とりあえず釘を刺しておく。
「俺の精神修行は、座禅でいいです」
返事だけはしておいて、そのまま敷かれた布団に倒れこむ。
だから、なんじゃつまらん…などと舌打ち交じりの声が聞こえたことなどきっと気のせいだ。
姉さんと辰子も折り重なるように圧し掛かってくるが、もうどうする事も出来ない。
…ともかく寝たい。少しでも体力を回復させたい。
どうせ今頃、俺の部屋には不動明王のオーラを立ち上らせた少女が待ち構えているに違いないんだから。

<了>