ロリが世界を救う

275 名前:ロリが世界を救う・1[sage] 投稿日:2009/10/01(木) 23:19:34 ID:b5Bid83X0
「おーい、何やってんだー?」

昼休み、メシを食い終わって
ヒマなので屋上にでも上がるかと教室を出たら
廊下で小笠原さんと2-Sの井上が何か話していた。

2-Sの中では井上準は2-Fに対して穏健派とはいえ
あまりに異質な組み合わせに、思わず声をかけていた。

「あ、ナオっち」

表情を見るに、どうも小笠原さんは困っている様子。
それに対し、井上のほうはやる気満々といった感じで……

普通なら、井上が小笠原さんをしつこく口説いていて
それに閉口しているといったところなのだろうが
天性のロリである井上に限ってそれはない。
と、すれば……

「お、ナオっち、お前からも頼んでくれよ」

「お前にナオっち呼ばわりされる覚えはないが、何をだよ」

「小笠原さんに、委員長との橋渡しを頼んでるんだけど
 なかなかいい返事もらえなくてな」

ま、そんなところだろうな。

「だから、アタシそんな役目はゴメンだって言ってるのに……!」

「そう言わずに、頼む!委員長と、親友なんだろ?
 小笠原さんは、セッティングさえしてくれればいいから!」
276 名前:ロリが世界を救う・2[sage] 投稿日:2009/10/01(木) 23:22:37 ID:b5Bid83X0
普通に考えれば、そう悪い話ではない。
ハゲでロリだが、これでもエリートクラスの2-Sメンバー。
親は医者で大病院の副院長、本人も将来は医者志望という
小笠原さん風に言えば優良物件。ハゲでロリだが。

「合コンぐらいは、セッティングしてやってもいいんじゃないの?」

「ちょ、ナオっちまで!?」

「だろ?ちょっとぐらいは考えてくれても……」

「あーもうシツコイ!アタシ、教室戻るから!」

小笠原さんはパッと身を翻すと、教室に飛びこんでしまう。
追いすがる井上の目の前で、バン!とドアが閉められた。

「……なんだよ、そんなに怒らなくてもいいじゃねえか、なあ?」

「なんて言って説得したんだよ?」

「俺はただ、『お風呂で委員長の背中を流してあげたいから、温泉で合コンしないか』って」

「バカかお前は」

「何でだよ!俺はただ、一緒にお風呂に入りたいだけであって!決して
 『お兄ちゃま、今度は前も洗ってください』とか
 『タオル忘れちゃったから、お手々で洗ってあげますね』とか
 言って欲しいわけではない!断じてなーい!!」

「……いいからそろそろ教室戻れよ」

井上も真剣なんだろうが、真剣なのも考えモノだな。
277 名前:ロリが世界を救う・3[sage] 投稿日:2009/10/01(木) 23:25:39 ID:b5Bid83X0
井上がションボリ戻っていったので、俺も教室に戻ると

「ナオっち……次の授業終わったら、話あるから」

「え?ああ、うん……わかった」

小笠原さんは、怒っているようだった。
委員長は、たぶん何も聞いていないのだろう、なんだかわからないようで少し困っている。

「あ、あの、何かあったのでしょうか!?」

「ううん、ごめんね、マヨには関係ないの。だから気にしないで」

「そ、そうですか……何か困ったことがあったら、遠慮なく言ってくださいね!」

相変わらず仲がいい、微笑ましい二人だ。

ひょっとして、小笠原さんは嫉妬してるのだろうか?
実は二人は由里な関係で
小笠原さんは委員長に接近しようとするロリを警戒している……

さすがにそれはちょっと妄想が過ぎるか。
彼女は彼女で、彼氏探しに熱心だし。

まあとにかく、これだけ怒らせちゃったんだし
ここは素直に謝っておいたほうがよさそうだ。

そのうえで、井上のことも少しはアピールしておいてやるか。
イタイ発言が目立って敬遠されてるが
アレはアレで真剣なんだろう……たぶん。
方向性を修正してやれば、小笠原さんも納得するかも。
278 名前:ロリが世界を救う・4[sage] 投稿日:2009/10/01(木) 23:29:02 ID:b5Bid83X0
「手短に言うわね。井上クンを、マヨに近づけないで」

目論見があっけなく崩れさるほど、小笠原さんは怒っていた。
いや……怒っているというより、悲しんでる?
とにかく、もう少し話を聞いておこう。

「そこまで嫌わなくてもいいんじゃないか?
 あれはあれで、真剣に委員長が好きみたいだし」

「そうね。井上クンが真剣なのは、わかるわ。でも、彼ロリコンでしょ?」

「まあ……だからこそ委員長に惹かれてるというか……
 相手がロリコンじゃ、マズイか?」

「だって、それってマヨの外見しか見てないんじゃない?
 たとえば、マヨがアタシみたいな外見だったら
 井上クンはマヨを好きになるの?」

「む……」

「マヨはね、ホントにいい子なの。それぐらい、ナオっちならもうわかってるでしょ?
 それを、ちょっとした外見の特徴だけで好きになった男と、つきあわせたりはしたくない。
 あの子の中身を見て欲しいのよ、アタシは」

「じゃあ、井上が委員長の内面を気に入ってるなら、問題ない?」

「それは、まあ……アタシだって、男の子好きになるきっかけは、まず見た目なわけだし。
 でも、井上クンがマヨの内面を好きとは、ちょっと思えないのよね」

「……わかった。井上の気持ち、確かめてみるよ。その上で、考えてやってくれ」

「そうね……ナオっちなら頼れるかな。じゃあ、それで」
279 名前:ロリが世界を救う・5[sage] 投稿日:2009/10/01(木) 23:32:04 ID:b5Bid83X0
「……というわけなんだが」

「わかってねえ!小笠原さんは、ロリというものをわかってねえ!!」

「いや、俺もわからんけどな」

放課後。今度は井上に事情を説明。
……何やってるんだろうな、俺。

「俺はなあ、幼い子供の、その無垢で純真な心を愛しているんだよ!
 変にスレたガキとかには微塵も興味はないが
 委員長は、幼い頃の純粋さを失わないまま育っている!
 だからこそ俺は惹かれてるんだよ!ただ小さければいいってわけじゃねえんだよ!!」

「そんなデカイ声で力説されても困る。というか泣くなよ。
 ……まあ、お前が委員長の内面も好きだということはわかった」

「わかってくれたか……どうだ直江、お前もこっちの世界に来てみないか?」

「それは遠慮しよう。
 それで、委員長がお前とつきあったとする。
 お前、それで委員長が純粋さを失わないと思うか?」

「……うっ」

「お前は純粋か?無垢な子供の心のままか?幼い頃の心を持ちつづけているか?
 『一緒にお風呂で合コンしたい』とかいうのは、純粋なのか?」

「お、俺は……俺は、確かに汚れているかもしれない!
 だが、だからこそキレイな心で癒されたいんだ!!」

「だったら、お前もキレイな心になってから来いよ」
280 名前:ロリが世界を救う・6[sage] 投稿日:2009/10/01(木) 23:35:12 ID:b5Bid83X0
「!……そうか……そう、だよな」

打ちひしがれ、肩を落とす井上。そこまで酷なことを言った覚えはないが。

「まあ、お前次第では俺も応援するからさ。
 イタイ発言とかなくなりゃ、イけると思うぜ」

「ああ……ありがとよ。キレイに、か……やってみるか!」

どこか井上の表情が晴れやかになる。
胸を張って立ち去る前に、俺に振りかえった。

「知ってるか、直江?ロリへの愛は、世界を救うことだってあるんだぜ?」

何だか意味不明なセリフを残し、井上準は去っていった。

そして、数週間が過ぎた。
あれから、特に変わったこともなく、俺は夕食後のひとときをまったり過ごしていた。

「最近、ゲンさん夜は寮にいること増えたねー」

「ああ、夜回りの必要性が減ったからな」

「え、夜回りなんかしてたんだ?」

「ああ、街に変なクスリが出まわり始めてたんでな、それを警戒してたんだが……
 最近、クスリの供給が止まった。どうも組織が解散したらしい」

「へー。組織が解散って、何かあったのかね」

「さあな。まあ、街がキレイになるのは、いいことだぜ……」
281 名前:ロリが世界を救う・エピローグ[sage] 投稿日:2009/10/01(木) 23:38:32 ID:b5Bid83X0
「なあなあ、直江」

教室を出たら、また井上に声をかけられた。

「なんだ井上。今からC組に行くんで忙しいんだが」

「俺、家を出て、養子になろうかと思うんだ」

「はぁ?何だいきなり」

と、そこにトコトコと委員長登場。

「あ、委員長!おはよーございますっ!」

「あ、井上ちゃん、おはようございます!」

「委員長!実はボク、養子になろうと思ってるんです!」

「ええ!?どうして急にまた?」

「それで、『鬼井』って人のところに養子に行ったら
 委員長は俺のこと『オニイチャン』って呼んでくれますか!?」

「だからそういうイタイ発言やめろって言っただろー!」

「鬼井、さん、ですか?変わった苗字の人ですね……
 ちょっと呼びにくいので、そうなったら『準ちゃん』と呼ぶと思います」

「ぐはぁっ!?せ、せっかくキレイになったのにぃっ!
 ……でもそれはそれでっ!どうせなら『準にゃん』と!」

「……街はキレイになったけど、お前は全然キレイになってないよ」
282 名前:名無しさん@初回限定[sage] 投稿日:2009/10/01(木) 23:39:52 ID:b5Bid83X0
終わり。ルート的には……どこに入れればいいんだコレ。