モロ改造計画

201 名前:名無しさん@初回限定[sage] 投稿日:2009/09/27(日) 00:25:02 ID:AAvm9tci0
モロ投下
202 名前:モロ改造計画・1[sage] 投稿日:2009/09/27(日) 00:28:13 ID:AAvm9tci0
ユートピア騒動で慌ただしかった夏休みも終わって、新学期。
今日から進路相談が始まっていた。
担任教師との面談なのでけっこう緊張する。

「……師岡は、ゲーム製作会社への就職を第一志望か」

「は、はい……進学よりも、早く社会に出たほうがいいと思いました」

「うむ……ところで、相変わらず、相手の目を見て話せないようだな」

「う……」

「私の目を見ろ、師岡!」

「は、はい!……(チラッ)……(スッ)」

「やれやれ……まあ、こういうものは性分とはいえ
 社会に出るなら、治しておかないとな……」

「す、すいません……どうしても、恥ずかしくて……」

「……よし、師岡。明日の放課後、弓道場まで来い」

「え?弓道場、ですか?」

「うむ。そこで、少し話をしよう」

「……(ああ、イヤだなぁ、弓道部って女子が多くて苦手だよ)……」

「返事はどうした!」

「わ、わかりました!」
203 名前:モロ改造計画・2[sage] 投稿日:2009/09/27(日) 00:31:19 ID:AAvm9tci0
「……ってなわけで、明日は放課後、ウメ先生に呼びだされちゃったよ……」

「なんでそんなうらやましい状況になってんだよチクショウ!」

まあウメ先生の言うことはもっともだが
これがモロなんだから仕方がない、と思ってしまうのは
ファミリーだからという甘やかしなのだろうか。

「あーあ、代わってもらえるなら、代わってもらいたいよ」

「俺様だって代わりてえよ!……なあ大和、俺様、モロに変装できないかな?」

「モロがガクトに変装できる可能性と同じくらいの可能性だな」

「まあ、自分のことだし、我慢して説教されてくるよ……」

「ああ、気楽にいけ。話を聞いた限りじゃ、ウメ先生も怒ってるわけじゃなさそうだし」

むしろ、モロの将来を真剣に考えてくれているのだろう。
ここはウメ先生を信頼して、任せておくほうがよさそうだ。

「そうだ!……俺様が付き添うってのは、認められるかな?
 言っておくが、決してウメ先生とお近づきになりたいとかそういうんじゃなく
 モロが心配だから付き添いたい、とそういう建前で、だ」
 
「叩きだされるのがオチだからやめておけ」

「ガクトが付き添いだと、まとまる話も壊れるからやめてね」

「俺様のアツイ友情が理解されてねー!」

建前とか言ってる時点で友情でも何でもねーよ。
204 名前:モロ改造計画・3[sage] 投稿日:2009/09/27(日) 00:34:20 ID:AAvm9tci0
翌日の放課後。

(弓道場なんて、あのとき以来だなぁ。京は……来てないのかな?)

弓道場の前で、入るきっかけがつかめずにウロウロするモロ。
弓道部員の京に付き添ってもらえばよかったと後悔したが、後の祭りである。
と、ちょうど良く女の子が一人出てきた。
意を決して声をかけてみる。

「……あのー……」

「あ……師岡、さん?プレミアムな弓道場にご用ですか?」

「え?あ、えっと……ウメ……小島先生に呼ばれて……」

(あれ?この子、なんで僕の名前知ってるんだろ?ウメ先生に聞いてたのかな?)

「小島先生なら、奥で指導中ですよ」

「そ、そう……」

さらにどうしようか迷っているモロに、奥から声がかけられた。

「お、来たか師岡。奥まで上がって来い」

「は、はい……じゃ、お邪魔します……」

「ここだ、師岡。ま、座れ」

道場にあがってみると、奥の一角、畳を敷き詰めた間に
ウメ先生はピシッと正座していた。
その向かいにモロも座る。それだけで、すでに緊張していた。
205 名前:モロ改造計画・4[sage] 投稿日:2009/09/27(日) 00:37:24 ID:AAvm9tci0
「矢場!それと武蔵!ちょっと来てくれ」

「はい、今行きます」「ご用件を伺うで候」

ウメ先生が部員に声をかけると
すぐにはきはきとした返事が帰ってくる。

「あー……矢場は、普通に喋れ」

「えー?……あ、師岡君?今日は見学に来てくれたの?」

「いや、今日はちょっと話をするために、私が呼んだ」

(うわぁ、ウメ先生だけでも緊張してるのに、知らない女の子が二人も!?)

「さて師岡。この二人のこと、覚えているか?」

「え……?」

(そんなこと言われても、知らない……あれ?でもこの人も僕の名前……あ!)

「あの……カーニバルのときに、注意してください、ってお願いした……?」

「そうそう!あのときの」「あのときはいきなり声かけられて、プレミアムに驚きましたよー」

「矢場、武蔵。あのときの師岡、どう思った?」

「え……や、その……本人の前で、ですか?」

「本人にだからこそ、だ」

「やー、照れるなー……えっと……カッコ良かったよ、師岡君」
206 名前:モロ改造計画・5[sage] 投稿日:2009/09/27(日) 00:40:25 ID:AAvm9tci0
「ええ!?僕が……?カッコイイ!?」

(そうか!ウメ先生が、僕に自信をつけさせようとして、こんなお芝居を……)

「……いやあ、お世辞でも嬉しいかな」

「あら、お世辞じゃないですよ?」

「ええ……あんなに真剣な目で見つめられたことって、そうそうないもの。
 そうでなかったら、あの話を信じることができないで
 結果、街を守れなかったかもしれないわ。
 貴方の説得が、街を救ったのよ。これって、カッコイイじゃない?」

「ですよねー。あの目で見られたら、ああ、この人の話、真剣なんだなって思いますよー」

「う……あ、あの時は、その……何とかしなくちゃって、必死だったから……」

「そうだ師岡。あのときのお前は、必死だった」

ウメ先生が微笑みながらモロの肩を叩く。

「そして、あのときのお前の眼差しは、しっかりと私の目を捉えていた。
 わかるか、師岡。やれば、お前はできる。できるのだ」

「僕が……やれば、できる?」

「そうだ。
 やりたいことがあるのなら、なりたいものがあるのなら
 あのときのように、必死になれ。真剣に立ち向かえ、師岡。
 ……私からは、以上だ。後は、お前次第だぞ」

「は……はい!ありがとうございました!矢場先輩、武蔵さん、ありがとう!」
207 名前:モロ改造計画・6[sage] 投稿日:2009/09/27(日) 00:43:32 ID:AAvm9tci0
「ワン子、ナオっちおはよー」「おはよーチカリン!」「おはよう、小笠原さん」

翌朝。2-F教室。皆の朝の挨拶の声に混じって

「お……おはよう、小笠原さん!」

ひときわ大きな声でモロの挨拶が響いた。

「へっ?……あ、お、おはよう、師岡クン……?」

「委員長、おはよう!」「おはようございます、師岡ちゃん、元気な挨拶でいいですね!」

登校したときにはファミリーの面子だけだったから、いつも通りだと思っていたが
どうも今日のモロはどこか違うようだ。

「おいおい、どうしたモロ。昨日ウメ先生に改造でもされたか?」

「またガクトはそういうこと言う。ちょっと意識改革されただけだよ」

なるほどな。さすがはウメ先生ってとこか。
変わっていくものも、変わらないものもあるけれど
いい方に変わっていくのなら、喜んで受け入れよう。

「ガクトも、意識改革してもらうといいかも」

「マジか。俺様、モテモテになれるか?」

「ううん、女の子にがっつかなくなると思う」

「それじゃ意味ねーんだよ!」

これは……変わったほうがいいのかなぁ。
208 名前:名無しさん@初回限定[sage] 投稿日:2009/09/27(日) 00:46:03 ID:AAvm9tci0
終わり。タイトルから女装モロを期待した人にはスマンカッタ。