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FAQ S版
開始行:
***木枯らし
#pre{{
519 名前:名無しさん@初回限定[] 投稿日:2009/10/19(月) 1...
ちょっとしんみりする(?)ワン子の話を投稿します。
}}
#pre{{
520 名前:木枯らし①[] 投稿日:2009/10/19(月) 10:13:55 ID:...
「お風呂でたよー」
未だ湯気が立ち上る髪をタオルで拭きながら、幼い一子は居間...
『愚かな母だとも思う。息子を人でなしにした』
『無礼なっ』
『だがそんな貴女が…私はいじらしい、愛しい。私は母を知らな...
一方の老婆は登場人物達の台詞になにかしらの懸念材料を感じ...
「ねー、まだ戦わないの?」
彼女は重厚なドラマパートを理解しているとは言い難く、最初...
老婆は安堵したように笑って、多分まだだと言った。
「ここはつまんなくないけど、よくわかんないわ。おばーちゃ...
子供らしい感想を含んだその問いに、老婆は微笑んで静かに頷...
「じゃあ、そのまま見ててね。肩たたきするから」
立ち上がると老婆の背に回り込み、軽く拳を握って振り下ろす。
拙いけれど非常に優しい、老婆の疲れが取れる事を最優先に願...
「どう? どう?」
老婆の反応に嬉々とした表情を浮かべると、そのまま後ろから...
「今日も一緒に寝ていい? アタシは湯たんぽみたいにあった...
窓ガラスの向こうで、冷えきった風が吹き荒れる。
老婆の温もりをより一層感じられるから、一子はこの寒さも嫌...
}}
#pre{{
521 名前:木枯らし②[] 投稿日:2009/10/19(月) 10:18:33 ID:...
川神市内・某所。
一子最後の戦いとなったあの灼熱の日から既に数ヶ月。
秋も半ばに差し掛かり、平均気温も日中でさえ涼しすぎるくら...
「初めてだよね、ここにアタシ達二人だけで来るの」
「ああ、いつもキャップ達が一緒だったからな。特に、俺とお...
水を汲んだ桶と供え用の花束を手に、俺と一子は石造りの階段...
登り切った先に広がるのは、十人十色な墓が立ち並ぶ閑散とし...
その隅に、目的地はあった。
「久しぶりね、おばーちゃん」
「ご無沙汰してました」
『岡本』の文字が刻まれたささやかな墓石。
以前来た際に俺達が供えた花は既に枯れ果てていて、今年の全...
それらは、ここを訪れる者が俺達の他に存在しない事を示して...
「それじゃあ、俺は花瓶をやる。一子、お前は石を頼む」
「うん、任せといて!」
作法については特に指示しなかった。
本来、墓石のてっぺんから水をかけるのは頭から水を浴びせる...
しかし、この際は気持ちの問題だから形式は度外視した。
どんな掃除の仕方であれ、本当に想いを込めてするのだったら...
そう解釈するのは都合がいいかもしれないが、一子にはその点...
}}
#pre{{
522 名前:木枯らし③[] 投稿日:2009/10/19(月) 10:24:49 ID:...
回収した花の残骸と新しく持ってきた花束を入れ替え、墓石の...
30分ほど経つと、墓は前に俺達が来て手入れをした時とほぼ...
「ねぇ――――」
「駄目だ。終わってからだぞ」
「まだ何も何も言ってないのに~っ!」
目を輝かせて涎を垂らしそうな一子を制止しながら、小笠原さ...
続けて100円ライターで線香を焚き、二人でそれを供えて手...
「……大和と付き合う事になったよ。驚いたかなぁ?」
それは間違いなく。
ワン子呼ばわりしていた頃からずっと一緒に過ごしてきた俺も...
もし過去に遡る事ができて幼少時の俺に会い、俺が未来から来...
でも、もしかしたら。
(万に一つでも、予想してました?)
今となっては確かめる術はないけど、そんな気がしないでもな...
「それとね、ずっとずっと絶対に師範代になるって言ってきた...
墓参りに来る度、どれくらい強くなったか誇らしげに報告して...
師範代に届くにはまだまだ足りないけど、いつか必ず――――そう...
『なれたら真っ先に教えに来るね』と、笑顔で語っていた一子...
異性として意識するよりも先に、夢に燃える姿を応援したくな...
多分、夢を捨てかかっていた当時の俺にも心のどこかで眩しく...
「でもね…別の夢は……見つけたわ」
もっとも、夢が潰えた事を自ら告げる一子の表情にもう曇りは...
}}
#pre{{
523 名前:木枯らし④[] 投稿日:2009/10/19(月) 11:00:18 ID:...
「大和が支えてくれたから。お姉様が愛してくれたから。キャ...
あとは強敵(とも)がいてくれたから。他にも沢山の人達が...
確かに、アタシは武道の――――川神院師範代に上り詰められる...
「勘違いするなよ。お前にそんな才能はない」
「えーっ!!」
横から思い切り否定してやった。
それは才能なんかじゃない。
天なんかから――――他の誰かから与えられたものじゃないんだ。
「ゲンさんが『お前が笑うと…嫌な気分が失せていった』。そう...
「……うん」
確かに一子は物覚えがいい方ではないけど、あの真剣な告白を...
「あれが全部表してるよ」
姉さんも、ファミリーのみんなも。
ゲンさんと九鬼も。
学長やルー先生も、川神院の修行僧達も。
話を聞く限りじゃ、いつぞや会った釈迦堂ってオッサンだって。
そして、きっとおばあさんも。
何よりも俺が――――。
(いつだってお前の笑顔に幸せにされてた)
それを才能だというなら、間違いなく超天才だろう。
少なくとも、そう感じる奴が良い人間と言うなら集ってくるの...
一子の笑顔はカリスマの類とは異なる引力を備えている、と確...
}}
#pre{{
524 名前:木枯らし⑤[] 投稿日:2009/10/19(月) 11:06:13 ID:...
「人を幸せにする事についてお前の右に出る奴はいない。俺を...
でも、お前にばかり幸せにされっぱなしなのも立つ瀬がない...
「大和っ」
「――――って訳で、一子を貰います」
視線をくるりと墓石に戻して、そう告げた。
既に心身ともに結ばれてる以上、厳密に言えば『貰いました』...
それを堂々と言う気になれずオブラードに包んでおき、故人が...
「あはは! なんかそのセリフだと、『お父さん。娘さんを僕...
「……違う意味がいいのか?」
笑っていた一子の顔が急速に変化し、意味を理解しようと懸命...
その反応には苦笑しかできない。
わかりきってはいたが、こいつに回りくどい言い方はまるで通...
(察しろよな。男としてはこのセリフ、割と勇気がいるんだぞ)
あくまでも、いつか必ず――――そういう意味合いではあったけど。
それでも、恋人の家族にそう宣誓するのは緊張した。
有史以来、数えきれない男達がこの緊張感を味わってきたのだ...
たとえ、今はもう別の世界にいる人相手であってもそれは変わ...
だが、今回これだけは言っておきたかった言葉であった。
「おい、一子」
未だ思考中だった彼女の髪をくしゃりと撫で、現実に引き戻す。
「帰るか」
「うん!」
}}
#pre{{
525 名前:木枯らし⑥[] 投稿日:2009/10/19(月) 11:13:00 ID:...
全ての片付けを終えて、墓所を後にする。
「また来るね、おばーちゃん。今度はみんなと一緒に」
去り際、一子はそう告げた。
新しい仲間にも会って欲しいし、と付け加えて。
「ねぇねぇ、早くどこかでお菓子食べよ! 公園とかで」
「ああ、でも急かすなよ。そんでもって、帰ったら一緒に勉強...
「いちいち言わなくても、そんなのわかってるわよぅ…でも、甘...
再び石造りの階段を降りていき、その中盤に差し掛かった時だ...
二人の間を、一陣の突風が駆け抜ける。
吹く季節を完全に早まった、せっかちな極寒の北風が――――。
「うおっ!」
「ひぎゃーっ!! 寒いわ! 大和、くっつこ! 寒い!!」
言うや否や、震えながら一子が大和に飛びつく。
「お、おい! 階段で飛びかかるなっ」
「ぶるぶるぶるぶる~っ」
一子は自称『湯たんぽみたい』かつ雪が降っても喜んで庭を駆...
最初の風を皮切りに、冷たい風がなおも激しく次々と吹きすさ...
まるで嵐のようだった。
「木枯らし…もう冬到来か」
「モンジローだか何だか知んないけど、早く帰ろ! 寒すぎる...
寒風は一向に収まる様子はない。
それどころか、ますます勢いと冷たさに磨きがかかっていく。
}}
#pre{{
526 名前:木枯らし⑦[] 投稿日:2009/10/19(月) 11:40:05 ID:...
一際甲高い風の唸り声が響き渡った時だった。
大和にしがみついて震えていたのも束の間、一子が突如ハッと...
『幸せに』
耳を澄ませても、聞こえるのは大和の息づかいを除くと強烈な...
そんな轟きが、一子には何故かそう聞こえてならなかった。
「……おばーちゃん………?」
「え?」
その呟きには大和以外に誰も応える事はない。
一子は大和に密着したまま、そっと無言で彼の肩に頭を預けた。
「いきなりどうした?」
「大和、もう少しこのままでいさせて。この方がアタシも大和...
「いいけど…お前、涙目になってるぞ」
「うん、そうかもしんない」
「ゴミでも入ったのか? 診てやる」
しかし、一子はゆっくりと首を振った。
瞳を滲ませたまま、いつも以上に微笑んで。
「何だかよくわかんないけど……嬉しくって泣きそうなのよぅ」
もっと二人で寄り添い合うように。
もっと二人で温もりを分かち合うように。
ずっとあなた達が幸せでいますように。
まるで、そんな優しい願いが込められているかのような凍える...
}}
#pre{{
527 名前:名無しさん@初回限定[] 投稿日:2009/10/19(月) 1...
おしまい。
ワンちゃんの才能は何かを考えた時、努力の才能よりも確かな...
しかし、釈迦堂さんの名前まであったのは……ひとえにここの小...
因みに冒頭の劇中劇シーンは実際に大和丸シリーズのモチーフ...
}}
終了行:
***木枯らし
#pre{{
519 名前:名無しさん@初回限定[] 投稿日:2009/10/19(月) 1...
ちょっとしんみりする(?)ワン子の話を投稿します。
}}
#pre{{
520 名前:木枯らし①[] 投稿日:2009/10/19(月) 10:13:55 ID:...
「お風呂でたよー」
未だ湯気が立ち上る髪をタオルで拭きながら、幼い一子は居間...
『愚かな母だとも思う。息子を人でなしにした』
『無礼なっ』
『だがそんな貴女が…私はいじらしい、愛しい。私は母を知らな...
一方の老婆は登場人物達の台詞になにかしらの懸念材料を感じ...
「ねー、まだ戦わないの?」
彼女は重厚なドラマパートを理解しているとは言い難く、最初...
老婆は安堵したように笑って、多分まだだと言った。
「ここはつまんなくないけど、よくわかんないわ。おばーちゃ...
子供らしい感想を含んだその問いに、老婆は微笑んで静かに頷...
「じゃあ、そのまま見ててね。肩たたきするから」
立ち上がると老婆の背に回り込み、軽く拳を握って振り下ろす。
拙いけれど非常に優しい、老婆の疲れが取れる事を最優先に願...
「どう? どう?」
老婆の反応に嬉々とした表情を浮かべると、そのまま後ろから...
「今日も一緒に寝ていい? アタシは湯たんぽみたいにあった...
窓ガラスの向こうで、冷えきった風が吹き荒れる。
老婆の温もりをより一層感じられるから、一子はこの寒さも嫌...
}}
#pre{{
521 名前:木枯らし②[] 投稿日:2009/10/19(月) 10:18:33 ID:...
川神市内・某所。
一子最後の戦いとなったあの灼熱の日から既に数ヶ月。
秋も半ばに差し掛かり、平均気温も日中でさえ涼しすぎるくら...
「初めてだよね、ここにアタシ達二人だけで来るの」
「ああ、いつもキャップ達が一緒だったからな。特に、俺とお...
水を汲んだ桶と供え用の花束を手に、俺と一子は石造りの階段...
登り切った先に広がるのは、十人十色な墓が立ち並ぶ閑散とし...
その隅に、目的地はあった。
「久しぶりね、おばーちゃん」
「ご無沙汰してました」
『岡本』の文字が刻まれたささやかな墓石。
以前来た際に俺達が供えた花は既に枯れ果てていて、今年の全...
それらは、ここを訪れる者が俺達の他に存在しない事を示して...
「それじゃあ、俺は花瓶をやる。一子、お前は石を頼む」
「うん、任せといて!」
作法については特に指示しなかった。
本来、墓石のてっぺんから水をかけるのは頭から水を浴びせる...
しかし、この際は気持ちの問題だから形式は度外視した。
どんな掃除の仕方であれ、本当に想いを込めてするのだったら...
そう解釈するのは都合がいいかもしれないが、一子にはその点...
}}
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522 名前:木枯らし③[] 投稿日:2009/10/19(月) 10:24:49 ID:...
回収した花の残骸と新しく持ってきた花束を入れ替え、墓石の...
30分ほど経つと、墓は前に俺達が来て手入れをした時とほぼ...
「ねぇ――――」
「駄目だ。終わってからだぞ」
「まだ何も何も言ってないのに~っ!」
目を輝かせて涎を垂らしそうな一子を制止しながら、小笠原さ...
続けて100円ライターで線香を焚き、二人でそれを供えて手...
「……大和と付き合う事になったよ。驚いたかなぁ?」
それは間違いなく。
ワン子呼ばわりしていた頃からずっと一緒に過ごしてきた俺も...
もし過去に遡る事ができて幼少時の俺に会い、俺が未来から来...
でも、もしかしたら。
(万に一つでも、予想してました?)
今となっては確かめる術はないけど、そんな気がしないでもな...
「それとね、ずっとずっと絶対に師範代になるって言ってきた...
墓参りに来る度、どれくらい強くなったか誇らしげに報告して...
師範代に届くにはまだまだ足りないけど、いつか必ず――――そう...
『なれたら真っ先に教えに来るね』と、笑顔で語っていた一子...
異性として意識するよりも先に、夢に燃える姿を応援したくな...
多分、夢を捨てかかっていた当時の俺にも心のどこかで眩しく...
「でもね…別の夢は……見つけたわ」
もっとも、夢が潰えた事を自ら告げる一子の表情にもう曇りは...
}}
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523 名前:木枯らし④[] 投稿日:2009/10/19(月) 11:00:18 ID:...
「大和が支えてくれたから。お姉様が愛してくれたから。キャ...
あとは強敵(とも)がいてくれたから。他にも沢山の人達が...
確かに、アタシは武道の――――川神院師範代に上り詰められる...
「勘違いするなよ。お前にそんな才能はない」
「えーっ!!」
横から思い切り否定してやった。
それは才能なんかじゃない。
天なんかから――――他の誰かから与えられたものじゃないんだ。
「ゲンさんが『お前が笑うと…嫌な気分が失せていった』。そう...
「……うん」
確かに一子は物覚えがいい方ではないけど、あの真剣な告白を...
「あれが全部表してるよ」
姉さんも、ファミリーのみんなも。
ゲンさんと九鬼も。
学長やルー先生も、川神院の修行僧達も。
話を聞く限りじゃ、いつぞや会った釈迦堂ってオッサンだって。
そして、きっとおばあさんも。
何よりも俺が――――。
(いつだってお前の笑顔に幸せにされてた)
それを才能だというなら、間違いなく超天才だろう。
少なくとも、そう感じる奴が良い人間と言うなら集ってくるの...
一子の笑顔はカリスマの類とは異なる引力を備えている、と確...
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#pre{{
524 名前:木枯らし⑤[] 投稿日:2009/10/19(月) 11:06:13 ID:...
「人を幸せにする事についてお前の右に出る奴はいない。俺を...
でも、お前にばかり幸せにされっぱなしなのも立つ瀬がない...
「大和っ」
「――――って訳で、一子を貰います」
視線をくるりと墓石に戻して、そう告げた。
既に心身ともに結ばれてる以上、厳密に言えば『貰いました』...
それを堂々と言う気になれずオブラードに包んでおき、故人が...
「あはは! なんかそのセリフだと、『お父さん。娘さんを僕...
「……違う意味がいいのか?」
笑っていた一子の顔が急速に変化し、意味を理解しようと懸命...
その反応には苦笑しかできない。
わかりきってはいたが、こいつに回りくどい言い方はまるで通...
(察しろよな。男としてはこのセリフ、割と勇気がいるんだぞ)
あくまでも、いつか必ず――――そういう意味合いではあったけど。
それでも、恋人の家族にそう宣誓するのは緊張した。
有史以来、数えきれない男達がこの緊張感を味わってきたのだ...
たとえ、今はもう別の世界にいる人相手であってもそれは変わ...
だが、今回これだけは言っておきたかった言葉であった。
「おい、一子」
未だ思考中だった彼女の髪をくしゃりと撫で、現実に引き戻す。
「帰るか」
「うん!」
}}
#pre{{
525 名前:木枯らし⑥[] 投稿日:2009/10/19(月) 11:13:00 ID:...
全ての片付けを終えて、墓所を後にする。
「また来るね、おばーちゃん。今度はみんなと一緒に」
去り際、一子はそう告げた。
新しい仲間にも会って欲しいし、と付け加えて。
「ねぇねぇ、早くどこかでお菓子食べよ! 公園とかで」
「ああ、でも急かすなよ。そんでもって、帰ったら一緒に勉強...
「いちいち言わなくても、そんなのわかってるわよぅ…でも、甘...
再び石造りの階段を降りていき、その中盤に差し掛かった時だ...
二人の間を、一陣の突風が駆け抜ける。
吹く季節を完全に早まった、せっかちな極寒の北風が――――。
「うおっ!」
「ひぎゃーっ!! 寒いわ! 大和、くっつこ! 寒い!!」
言うや否や、震えながら一子が大和に飛びつく。
「お、おい! 階段で飛びかかるなっ」
「ぶるぶるぶるぶる~っ」
一子は自称『湯たんぽみたい』かつ雪が降っても喜んで庭を駆...
最初の風を皮切りに、冷たい風がなおも激しく次々と吹きすさ...
まるで嵐のようだった。
「木枯らし…もう冬到来か」
「モンジローだか何だか知んないけど、早く帰ろ! 寒すぎる...
寒風は一向に収まる様子はない。
それどころか、ますます勢いと冷たさに磨きがかかっていく。
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#pre{{
526 名前:木枯らし⑦[] 投稿日:2009/10/19(月) 11:40:05 ID:...
一際甲高い風の唸り声が響き渡った時だった。
大和にしがみついて震えていたのも束の間、一子が突如ハッと...
『幸せに』
耳を澄ませても、聞こえるのは大和の息づかいを除くと強烈な...
そんな轟きが、一子には何故かそう聞こえてならなかった。
「……おばーちゃん………?」
「え?」
その呟きには大和以外に誰も応える事はない。
一子は大和に密着したまま、そっと無言で彼の肩に頭を預けた。
「いきなりどうした?」
「大和、もう少しこのままでいさせて。この方がアタシも大和...
「いいけど…お前、涙目になってるぞ」
「うん、そうかもしんない」
「ゴミでも入ったのか? 診てやる」
しかし、一子はゆっくりと首を振った。
瞳を滲ませたまま、いつも以上に微笑んで。
「何だかよくわかんないけど……嬉しくって泣きそうなのよぅ」
もっと二人で寄り添い合うように。
もっと二人で温もりを分かち合うように。
ずっとあなた達が幸せでいますように。
まるで、そんな優しい願いが込められているかのような凍える...
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#pre{{
527 名前:名無しさん@初回限定[] 投稿日:2009/10/19(月) 1...
おしまい。
ワンちゃんの才能は何かを考えた時、努力の才能よりも確かな...
しかし、釈迦堂さんの名前まであったのは……ひとえにここの小...
因みに冒頭の劇中劇シーンは実際に大和丸シリーズのモチーフ...
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