***伊予SS #pre{{ 354 名前:伊予SS1[sage] 投稿日:2012/02/07(火) 05:11:15.26 ID:BV1u9XQ70 大和田さんから誘われて観戦してきた試合の帰り道。 試合は負けてしまったけれど、 応援している大和田さんは七浜ベイへの愛が溢れてて輝いていた。 「大和田さんは本当に七浜ベイが好きなんだね」 「あ、ごめんなさい!? やっぱり気持ち悪いですよね、あんな必死に応援しちゃうなんて」 「そんな事無いよ。何にでも一生懸命な女の子は素敵だと俺は思うよ」 「そ、そうですか?」 「うん。そうじゃないと明日も一緒に観戦しようだなんて誘わないよ」 「よかったです。明日はきっと勝てると思うので!」 こんな気持ちで応援してくれる人がいるなら、野球選手も本望だろうな。 他人との話題作りの為に試合観戦していた俺とは大違いだ。 「七浜ベイを応援するようになったきっかけは両親の影響だっけ?」 「そうですね。昔から家族の話題はそればっかりでした。 それと近年だと考えられないかも知れませんが、昔の七浜ベイはそれはもう強くて。 十年前の日本一になった時は子供心ながら感動しました」 「ああ、それなら知ってる。マシンガン打線とか言われてた頃だっけ」 「はい! 今思えばあの日本一がファンになる決定打だったかもしれません」 ただ最近はBクラスが常連になってしまっている七浜ベイ。 彼女はそんな状況でもファンを止めようとは思わないのだろうか。 「なんちゃって。今言ってもウソみたいですよね」 「そんなことは…」 }} #pre{{ 355 名前:伊予SS2[sage] 投稿日:2012/02/07(火) 05:13:30.49 ID:BV1u9XQ70 「でもいいんです。勝つからファンをしている訳じゃないですから、私」 「え?」 「もちろん勝って勝って日本一になってくれたら一番嬉しいんですよ? けど負け試合の采配について家族とあれこれ言ったり… ダメだった試合でもファインプレーや若手の活躍もあったりします。 オフシーズンでもドラフトを見たり来期の構想を一人で妄想したり。 そんな時間もたまらなく楽しいんです」 「もう子供を応援する親みたいだね」 「ははは、そうかもしれません。 実際年期の入ったファンの方はそうなるみたいですし」 「それで先輩、もしよかったらなんですが…」 「どうしたの?」 「これから学校でふと会ったりしたら話しかけてもいいですか? 七浜ベイの話もそうですが、先輩ともっと話してみたくて」 「俺でいいならどんどん話しかけて。 試合中継が終わった後メールとかでもいいし」 「本当ですかっ!? …でも私興奮してると変なこと書いてしまうかも」 「大丈夫。その時は俺のメールも変なこと書くから」 「も~なんですかそれ」 }} #pre{{ 356 名前:伊予SS3(終わり)[sage] 投稿日:2012/02/07(火) 05:15:15.18 ID:BV1u9XQ70 「送っていただいてありがとうございました先輩」 「ここでいいの? 家の前まででも…」 「大丈夫です。私の家すぐそこなので」 「そうなんだ。それじゃまたね大和田さん」 「はい。それではさよならです先輩」 そう言って大和田さんは歩き出していく。 俺も金曜集会に今から顔出すか… 「せんぱ~い!」 「?」 振り返ると大和田さんが少し離れた場所で手を振っている。 何か忘れ物でもしたのか? 「今日はありがとうございました。 先輩と観戦出来て本当にうれしかったです! 明日も約束してくれて夢みたいです。 また二人で観戦しましょうね、それじゃ!」 そう言い終わると大和田さんは照れたように走り去る。 恥ずかしがり屋なところはまゆっちの友達らしいな。 とりあえずメールでも送るとしよう。 『大和田さんへ、俺も楽しかったよ。 明日だけとは言わずに、また一緒に観戦行こう』 メール送信、と。 今日の集会ではまゆっちと大和田さんの話題で盛り上がりそうだな。 }}